カラダとココロの健康アドバイス カラダとココロの健康アドバイス

背中を緩めて心と体をほぐす呼吸法

ゆっくりとした深い呼吸をして、疲れやストレスで凝り固まった心と体を緩めて、
自律神経を整えていきましょう。

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心と体を整える深い呼吸とは?

パソコンやスマートフォンの長時間の使用、日々のストレスなどで心や体が緊張してこわばると、筋肉はカチカチに固まり、呼吸は速く浅くなります。
浅い呼吸は、姿勢が悪いことや知らず知らずに歯を食いしばってのどの奥を閉じていることで、ピッチが速くなっていきます。この呼吸では酸素を全身にいきわたらせることができません。全身に十分な酸素を送り、二酸化炭素とのガス交換をうまく行うには、深い呼吸が必要です。
深い呼吸とは、肺活量いっぱいに息を吸い込んだり吐いたりすることではありません。自分が心地よく感じる範囲でゆっくりと吸ったり吐いたりすることです。「吸う」「吐く」の間に、呼吸を休む適度な間(ま)があると、よりゆっくりとした深い呼吸ができるようになります。
深い呼吸ができるようになると、背骨が緩み全身もじんわりと温かくなり、心も体もほぐれていきます。

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呼吸と背中の関係

深い呼吸をすると心がほぐれてくるのは、自律神経のバランスが整い、不要な緊張がなくなるからです。自律神経は背骨の周りに通っているので、背中の筋肉が固まっていたり、背骨を柔軟に動かせなかったりすると、自律神経もうまく機能できません。背骨やその周りの筋肉が緩むことで自律神経の働きが活発になり、心身を健康的にしていきます。
自律神経は交感神経と副交感神経から構成されていて、その2つがバランスよく機能することが大切です。
それぞれは脊柱(首から尾骨まで)の部位と関係しているので、背骨や周りが柔軟に動く状態だと、交感神経と副交感神経もバランスよく機能することができます。
ですから、呼吸をするときは、背中を緩めることも意識すると効果的です。

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「あくびの呼吸」で大きく息を吸い込んでみよう

まずは、「あくびの呼吸」で息を大きく飲み込む感覚をつかみましょう。拳が入るくらい大きく口を開けてあくびをして、のどの奥を開いて、空気を十分に飲み込みます。これが「十分に息を吸う」イメージです。
大あくびをして息を飲み込んだあとは、息を吐く前に少し止まる時間がありますね。これが呼吸を休む間です。間をとったあと、「ハーッ」と声に出して大きなため息をつきます。声に出すことでのどの奥から息を大きく吐き出すことができます。これが深い呼吸のイメージとなります。
あくびの呼吸を3回程度繰り返すと、歯の食いしばりがなくなり、口の周り、あご、のどの筋肉も緩んで、呼吸も自然と楽になっていきます。

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背骨を緩めるリラックス呼吸法

かたくなった背中をほぐし、背骨が緩んでリラックスできる呼吸法を紹介します。
慣れてくると、「吐く時間」「吸う時間」「お休みの時間」がそれぞれ長くなっていきます。まずは、時間を意識せずに、静かに目を閉じて10~20回ゆっくりと繰り返してみましょう。

①いすに浅く座り、足を床につけて開きます。目を閉じて、背中を丸めながら、ゆっくりと鼻から息を吐きます。厳密に時間を気にする必要はありませんが、吐くときは、吸うときの2倍の時間をかけるイメージで、細く長く息を吐きましょう。

②心地よく感じるところまで吐いたら、息を溜めるイメージで、いったんお休みします。

③息を吸いたくなったら、背中を軽く反らしながら、背中を広げるイメージで鼻からゆっくりと息を吸い込みます。

④心地よく息を吸い込んだら、息を溜めるイメージで、いったん休んで、吐きたくなったら、①に戻ります。

ポイント

・背中を丸めたり、反らしたりする動作、呼吸の速度や時間にこだわりすぎると、無意識に緊張してしまいます。肩の力を抜いて脱力し、自分が心地よく感じる自然なペースで行いましょう。

・口を半開きにして、上下の歯を離して緩め、のどの奥を開いて、頬、眉間、額の緊張を緩めましょう。

・「吐ききること」「吸いきること」が目的ではありません。息を吐く、吸うの間に軽く休みを入れながら、
背中の動きとともに次の呼吸を始めましょう。

監修

平賀 恭子(ひらが・きょうこ) 呼吸ヨガ®スペシャリスト スタジオシャンティ日本橋・今宿代表
会社員生活のなかでヨガに出会い、学びを深めるなかで、呼吸に意識を向け、呼吸を深めながら、ポーズを導く呼吸ヨガ®を創始する。2011年、ヨガと食のスタジオ 「Studio Shanti」 をスタート。2013年、ビジネスパーソン向けヨガスタジオ「シャンティ 201」(http://studio-shanti.com/201/)をオープン。2015年、「シャンティ今宿」(福岡県)をオープン。著書『息をするたび、心と体が整う 呼吸がすべて』(オレンジページ)。