おなかから体も心も元気になる 腸もみセルフケア
食べたものを消化し、栄養を吸収して、不要となったものを便として排せつする「腸」は、生きるうえでなくてはならない大切な器官。腸を健やかに保つことが心身の健康につながると、いわれています。ここでは自分でできる腸のマッサージを紹介します。
腸は心とも関わっている
腸は全身のあらゆる健康状態と関わっていて、腸が健康になれば、消化力、吸収力、排せつ力が高まるといわれています。また、免疫力が活性化して病気にかかりにくくなる、代謝が上がって肌がきれいになる、太りにくくなるなどさまざまなメリットが。さらに、腸の不快な感覚は自律神経を介して脳に伝わり、感情に影響を与えることも分かっています。おなかがスッキリして調子が良いと、気持ちも明るくなって行動や生活にも良い循環が生まれます。
基本のマッサージ
毎日、朝起きたときや寝る前に行うと、おなかがほぐれて快便につながります。
① あおむけになり、ひざを立てます。座った状態でもできますが、あおむけでひざを立てるとおなかの筋肉がゆるみやすくなります。
② おへその上に右手をのせ、左手を添えて右回りに20回、おへその周りに小さな円を描くようにさすります。最初はなでるように優しく、慣れてきたら少し強めに大きく円を描くように腸全体をゆらすようにさすりましょう。
忙しい女性の腸は下がっている?!
日々の忙しい生活の中で、ストレスや運動不足、生活習慣の乱れから、おなかにガスがたまったり、がんこな便秘に悩む女性が多くみられます。特に、前かがみの姿勢で座りっぱなしの生活をしていると腹圧が下がり、大腸がどんどん伸びて下がってしまい、腸の動きも悪くなるという悪循環に。
うつ伏せ腰ゆらし
自分の体重を使って、腹圧を調整して下がった腸や腰をほぐしましょう。体の張りがやわらぎます。
① うつ伏せに寝て、腕を曲げて重ねた手のひらに額をのせて力を抜きます。
② 骨盤が左右に傾くように、2~3分、腰をゆらゆらとゆらします。振動が体に心地よく、腰痛予防にも。
夜遅い食事が腸のリズムを乱す
胃腸の働きが弱まる夜遅い時間に食事をとって、胃腸に未消化の食べ物が残ったまま寝てしまうと、眠りが浅くなり、睡眠中に腸を掃除するホルモンが分泌されません。すると、翌朝は食欲が出ず、昼食を食べてやっと便意が起こるという体のリズムになり、仕事中などに便意を我慢してしまうといった悪循環も。そのため腸はますます動きにくくなってしまいます。
腸はさみマッサージ
胃や腸を刺激すると、夜遅い食事で疲れた胃腸がほぐれます。トイレに行って、排便を促しましょう。
① ろっ骨の下を手の付け根で左右両側から押さえ、中央のおへそに向かってギューっとはさみ、5秒キープ。
② 両手をおへそのラインにおろし、①と同様に両側からおへそに向かって手の付け根でギューっとはさみ、5秒キープ。
③ 両手をおへその下にずらし、①と同様に下腹全体を手の付け根でギューっとはさみ、5秒キープ。
腸を健やかに保つ食生活を
腸マッサージは良い刺激になりますが、腸を動かす、有害物質を解毒するなど、腸の健康にとって重要な働きをしている腸内細菌のバランスを良くすることも大切です。炭水化物を極端に控えると腸内の善玉菌のエサが不足して腸内環境が悪化するうえ、便の材料も不足して便秘につながるため、米やもち麦などの炭水化物も適量をきちんととりましょう。 また、夕食が遅い時間になってしまう人は、夕方におにぎりなどを食べて、帰宅後は消化の良いスープやみそ汁のみにするなど分食の工夫を。できるだけ胃が空っぽの状態で寝るようにすると、腸のリズムを取り戻しやすくなります。
監修
齊藤 早苗(さいとう・さなえ) コロンハイドロセラピスト、看護師、インナー美人アドバイザ-
看護師として大学病院などに勤務後、2000年に米国で腸内洗浄(コロンハイドロセラピー)の国際ライセンスを取得。がんこな便秘やぽっこりお腹に悩む1万人以上の女性にコロンハイドロセラピーを施しながら腸ヘルスケアの指導を行う。
現在、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・コロンハイドロセラピーにて、セラピーを行いながら、腸の健康推進や腸もみ指導などの啓発活動としてセミナーや講演を行う。早稲田大学卒業。
著書に、『美女になる腸トレ』(小学館)、『美腸やせ』(主婦と生活社)、『腸をキレイにする、腸からやせる』(日経BP)など。監修、『お腹ぺたんこ!腸もみバイブル』(日経BP)など多数。
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・コロンハイドロセラピー