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卵巣のう腫 【監修:虎ノ門ウィメンズクリニック院長 角ゆかり先生】

卵巣は子宮の左右両側に卵管に支えられるように1つずつあり、月に1度排卵したり、女性ホルモンを分泌したりする女性特有の臓器です。卵巣は良性、悪性を問わず腫瘍ができやすく、一方で、「沈黙の臓器」とも言われ、腫瘍ができてもよほど大きくならないと自覚症状が現れないため注意が必要です。病気が見つかりにくいという卵巣の特徴を理解して、定期的に婦人科を受診して体のケアを行いましょう。

Chapter1

卵巣のう腫ってどんな病気?

発症する年齢によって症状が異なる

卵巣のう腫は卵巣にできる良性の腫瘍で、卵巣の一部に袋状の部分ができて、その中に液体などの成分が溜まる病気です。通常、卵巣は親指ぐらいの大きさですが、のう腫ができると握りこぶし以上に大きくなることもあります。子宮筋腫などと違い、のう腫は大きくてもぶよぶよと柔らかいので「異物」として感じることが少なく、発見されにくいのが難点です。卵巣にできる腫瘍の90%以上が良性だといわれていますが、良性か悪性かを見極めるためには腫瘍の「中身は何か」を調べます。良性のものはほとんどガン化しませんが、悪性の場合もあるので、注意が必要です。

Chapter2

卵巣のう腫のタイプとは?

卵巣の腫瘍は主に「腫瘍の中身が何か」で、種類が分けられています。

卵巣のう腫(のう胞性卵巣腫瘍)

ほとんどの卵巣のう腫は袋状の腫瘍に液体がつまっている状態で、のう胞性腫瘍といわれる良性のものです。中につまっているものの性質の違いで、図のように「漿液(しょうえき)性のう腫」「ムチン性のう腫」「皮様のう腫」の3つに分けられます。また、子宮内膜症が原因で卵巣内に血液が溜まってできる「チョコレートのう腫」もあります。20~30代に多い病気ですが、皮様のう腫の場合は10代後半から20代前半に多いという特徴があります。

充実性卵巣腫瘍

なかには中身がこぶのような固い腫瘍もあり、充実性腫瘍といわれます。卵巣の腫瘍は、子宮がんでいう「細胞診」のような検査ができないので、充実性腫瘍と診断された場合は血液検査などから良性、悪性、中間性のおよその判断をします。確実に良性か悪性かを判断するためには、手術で切除した腫瘍の組織検査が必要です。

Chapter3

気になる症状は?

どのようなのう腫も、小さなうちは痛みなどの自覚症状がほとんどありません。かなり大きくなっても、ぶよぶよとしているため、「太っておなかがぽっこりしてきた」と思ってしまう人が多いようです。

大きくなるとねじれて激痛が起こることも

ただし、腫瘍がだんだん大きくなっていくと、何かのきっかけで根元からねじれてしまう「茎捻転」という状態に陥ることがあります。これは盲腸炎のような激痛をともない、卵巣が壊死(えし)してしまうこともあるので、緊急手術が必要です。それとは別に、のう腫が大きくなって破裂し、腹膜炎を起こすことがあります。こちらも緊急手術となります。

茎捻転の場合は「キリキリ痛むことがある」といった予兆があることもありますが、どちらにしても月経痛とは違う強い痛みなので「おかしい」と思ったら、早めに婦人科を受診しましょう。