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月経前症候群(PMS) 【監修:麻布十番まなみウィメンズクリニック院長 今井愛先生】

毎月の生理前になると、イライラして怒りっぽくなったり、人にきつく当たってしまったり、肌荒れがして化粧のりが悪くなったりして気持ちよく過ごせない……。生理が始まる1~2週間前ぐらいから続くこれらの身体的、精神的に不快な症状のことを月経前症候群(PMS)といいます。生理が始まると、症状が消えたり、軽くなったりするのが特徴です。

Chapter1

PMSってどんな病気?

生理が始まる1~2週間前から開始直後まで不快な症状が続く――。そんな人は月経前症候群(Premenstrual Syndrome、以下、PMS)を疑ってみたほうがいいでしょう。PMSになると、前回の生理が終わってから約2週間、低温期は体調が良く、排卵日を境にして高温期に入るとさまざまな症状が出やすくなります。この病気で命を落としたり、別の大きな病気につながったりすることはありませんが、適切な治療を受ければ、つらさは大幅に解消することができます。

症状には個人差がありますが、イライラや不安感などの精神症状、むくみや頭痛、倦怠感などの身体症状、また、物事が面倒くさくなる、いつもやっていることがテキパキできなくなる、一人でいたくなくなるといった社会的症状の3つに分けられます。なかでも、精神症状が強く出る場合は、月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれています。生理のある女性の約8割がなんらかのPMSの症状を経験し、その中の5%がPMDDに悩んでいるといわれています。

月経前症候群(PMS)の主な症状

身体的症状 下腹部 下腹部が痛い・張る、腰痛
血管・神経 頭痛、頭が重い、肩こり、めまい、手足が冷える
消化器 食欲が増える・減る、便秘・下痢、食べ物の好みが変わる
水分代謝 むくみ、のどが渇く
乳房 乳房が痛い・張る
皮膚 にきびができやすい、肌荒れ、化粧ののりが悪い
その他 疲れやすい、眠くなる、おりものが増える、体がうまく動かない、アレルギーがひどくなる
精神的症状 イライラする、怒りやすい、攻撃的になる、無気力、憂うつ、自分ってつまらない人間だと思う、弱気になる、涙もろくなる、不安になる、気分が高揚する、気分が集中できない、気分が抑制できない、能率が低下する、性欲が高まる・減退する
社会的症状 社会活動 いつもの通りの仕事ができない、整理整頓ができない、自分の健康管理ができない、物事が面倒くさくなる、女性であることがいやになる、月経がいやになる
対人関係 人と口論してしまう、家に引きこもる、誰も自分を理解してくれないし、支えてくれないと思ってしまう、一人でいたい、家族や友人へ暴言をはいてしまう、人付き合いが悪くなる

(月経研究会連絡協議会:PMSメモリー記録編、日本家族計画協会、東京、1997より)

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どんな人がなりやすいの?

生理のある女性全員がPMSにかかるおそれがありますが、症状が出やすいのは主に20~30代で、更年期を経て閉経すると症状はなくなります。一般的に生活が不規則な人、睡眠時間が足りない人、食生活の栄養バランスが悪い人は症状が出やすいといわれています。また、まじめで几帳面な人ほど、イライラやうつ傾向などの精神症状が出やすいようです。

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診断の流れ

「どの程度のつらさなら医師に相談するべきか」を判断するのは難しいところですが、「会社に行けない」「いつも家族や友人とケンカしてトラブルの火種になる」など、日常生活や人間関係に支障が出るようなら、または、自分では気がつかなくても、他人にそう指摘されるようなら、一度、専門家の診察を受けたほうがいいでしょう。
「月経のリズムと関連性がある」という自覚症状があるのなら、産婦人科を訪ねましょう。まずはかかりつけの内科医に相談して、専門医を紹介してもらってもいいでしょう。ただし、精神症状が強かったり、月経との関連性がよくわからなかったりする場合には、心療内科がおすすめです。
産婦人科を例に、受診の流れを簡単に紹介しましょう。まずは問診票でおおまかな症状を書いて伝えます。次に医師の診察で、症状や月経の状況などについて聞かれます。婦人科のほかの病気が隠れていないかを調べるため、そのまま内診や超音波などの検査を受けることもあります。
治療方針が決まったら、ライフスタイルに合わせて薬の処方を受け、次回の通院日を決めます。