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不妊症 【監修:はらメディカルクリニック 原 利夫先生】

不妊とは、妊娠を望んでいるのに妊娠に至らない状態をいいます。晩婚化や女性の社会進出にともなって、不妊症になる人、不妊症の治療を受ける人が増えています。
排卵、受精、着床の妊娠成立までのステップに問題がある場合は手術や投薬などの治療をします。ただし、検査で必ず不妊の原因がわかるわけではなく、検査では異状のない「原因不明」と診断される受診者が半数以上を占めるようです。その場合の対処方法は、年齢や妊娠をどれくらい強く希望するかどうかによって変わってきます。妊娠を考えているのであれば専門医を受診し、妊娠しにくい要素があるようなら改善しておきましょう。

Chapter1

不妊症ってどんな病気?

不妊症とは、妊娠を望んでいても自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。「妊娠しやすさ」は女性の年齢によって大きく変化し、45歳を過ぎると自然妊娠の可能性はほとんどなくなります。一般的に、年齢が若い夫婦は妊娠できない期間(=不妊期間)が長めでも、それ以後に自然に妊娠する可能性がありますが、年齢の高い夫婦では不妊期間が短くても、それ以後に自然妊娠する可能性が低くなります。「どのくらいの不妊期間があれば不妊症なのか」については、さまざまな定義があります。日本産科婦人学会では、「避妊をせず夫婦生活(性交)を営んでいて1年間妊娠しなければ不妊症」としています。

Chapter2

どんな原因があるの?

不妊の原因は女性にだけではなく、男性にもあります。女性側では子宮筋腫や子宮内膜症などの子宮に関する要因、卵管の閉塞(へいそく)や狭窄(きょうさく)などの卵管に関する要因、男性に多いのは、精子減少症です。

女性側の原因

卵管要因

卵管が詰まったり(閉塞)、狭くなったり(狭窄)していて、精子や卵子、受精卵が通過しにくくなる状態。クラミジア感染症や子宮内膜症が原因で詰まることもある

子宮要因

子宮筋腫や子宮内膜症が原因となって、子宮内で受精卵が着床しにくくなる状態

排卵障害

卵巣機能の低下やストレスなどで卵子が成熟できない、または成熟した卵子が卵巣からうまく飛び出すことができずに、排卵が起こらない状態

男性側の原因

精子減少症

体調やストレスなどにより精液中に含まれる精子の数が少ない状態で、自然妊娠が難しくなる

精索静脈瘤

精巣から腎臓へ向かう静脈の弁に機能不全が起こって、精巣周辺がうっ血し、睾丸(こうがん)の温度が上昇して精子が弱ったり死んだりする

精管閉鎖

ヘルニア手術、外傷の後遺症、性病の治療、精巣の炎症などにより、精管が詰まって精子が出にくくなる

Chapter3

どんな人がなりやすいの?

年齢が高くなるほど、自然妊娠の可能性は低くなります。月経不順や月経量・期間の極端な変化がある場合は、不妊症のリスクが高くなると考えられます。性感染症にかかったことがある、きちんと治療しなかった場合もリスクを上昇させます。
また、ストレスの多い日常生活を送っていたり、過度なダイエットを行ったりしてホルモンバランスが崩れると、正しい排卵が起こらなくなる要因となり、不妊につながることも考えられます。