介護離職の現状と、介護離職をしないためにできることなどをまとめています。
介護離職とは、要介護状態になった家族の介護に専念するために、介護者が本業である仕事を辞めてしまうことをいいます。一般的に、介護と仕事の両立を求められることが多い世代などが当てはまります。
厚生労働省の「令和4年就業構造基本調査」によると、2022年は1年間で介護を理由に離職した人は10万人以上いました。
総数 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
2007年 | 144,800 | 25,600 | 119,200 |
2012年 | 101,100 | 19,900 | 81,200 |
2017年 | 99,000 | 24,000 | 75,000 |
2022年 | 106,000 | 26,000 | 80,000 |
出典:令和4年就業構造基本調査 結果の要約及び概要(総務省)
介護離職は、家庭によりさまざまな事情から生じますが、介護離職に至る背景として一般的には以下のような理由があります。
やむを得ない理由で介護離職を選択する方も多くいますが、離職後の問題点について具体的には以下のようなことがあげられます。
介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人の就業状況
出典:令和4年就業構造基本調査 結果の要約及び概要(総務省)
仕事と介護の両立が難しくなり、介護離職をする年齢層は50代が多いことから、介護の必要がなくなってから再就職をすることが難しいという現状もあります。家族の介護をする人にとって介護中の経済的負担はもちろん、介護が終わってからも金銭面で不安が残ることも心配です。
介護の時間を確保するため、雇用形態を正社員からパートやアルバイトに変える人もいます。
生活費を親の年金収入や貯金を取り崩して生活することにもなります。
また、介護離職をすることで、退職金や将来の公的年金の受給額が減少してしまうことも要注意です。
介護や家事だけの生活になることで、ストレスを感じやすくなってしまう場合もあります。付きっきりで介護していると、話す相手は要介護者などの家族が中心となり、生活に変化が生まれません。慣れない介護で思うように介助できないストレスを感じたり、介護保険サービスを利用せず、全ての介護を自身で担っている状況では、自分の時間も取れなくなってしまいがちです。さらには社会とのつながりが希薄となり、悩みをひとりで抱えてしまいやすい状況になってしまいます。
そのため、要介護者との人間関係が良好であったとしても、イライラしてストレスをためてしまう可能性があります。
介護離職をすることでデメリットばかりがあるわけではありません。ご自身の状況と照らし合わせて、最適な選択ができるように慎重に検討しましょう。
勤務時間の調整や在宅勤務、介護休暇など、会社の制度を活用して仕事と介護の両立について会社に相談してみましょう。※会社により支援制度の状況は異なります。
上司や同僚に介護の状況を適切に伝えて、理解を得ることも重要です。
「介護休暇」とは、労働者が要介護状態(※)の家族を介護するために短期休みを取得できる制度、「介護休業」とは、同じく要介護状態(※)の家族を介護するために長期休みを取得できる制度です。
どちらも労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められており、労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できます。(有給か無給かは会社の規定によります。)
地域の介護支援組織やサービスを利用して、介護に関するサポートを受けることができます。
介護負担が増えるとストレスがかかりやすいため、定期的な休息や自己ケアを心掛けることが重要です。
介護の必要が生じた際には、まずは介護保険サービスの利用検討をおすすめします。
サービスを利用することで、仕事との両立をすることも可能です。ひとりで抱え込まず、社内外で頼れる人を探してネットワークを構築しましょう。