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わたしの介護体験記(2/2)

家のバリアフリー化にも介護保険が使えるケースがあります。築50年以上の実家は玄関や縁側の段差が50センチ近くあったり、敷居にはもれなく2センチの段差+レールのでこぼこがあったりとバリアフリーとはほど遠いものでした。祖母がいたころに敷居の段差をなくしたり、玄関に踏み台を置いたりと、ある程度の対策はしていましたが、玄関から門までの手すりを新しく作ったり、家の中の手すりを増やしたり、シルバーカーが出やすいようにコンクリートで庭の段差をなくしたりしました。最初は「Aちゃん(投稿者の妹)が作れって言うから作った」などと気乗りしなかった母ですが、今では「ここに手すりがあるとすごく楽」と言うようになりました。この手すりの設置費用は9割が介護保険の対象となりました。


ちなみに今母ができることは簡単な調理や洗濯、入浴などで、ある程度の日常生活はこなすことができます。念のためにパンツタイプのおむつは履いておりますが、お手洗いにも一人で行け、失敗はほぼありません。長距離・長時間は無理ですが、杖やシルバーカーを使い、ゆっくり歩くこともできます。できなくなったことは、爪切り、衣服着脱(特にボタンをはめるのが難しい)、ペットボトルや瓶の蓋が開けられない、重いものが持てない、などです。


この「ちょっとしたことができない」、というのがくせもので、母は軽い気持ちで周囲に「これやって」と頼みます。普段の日は妹に頼むことになってしまうのですが、妹は「私だって忙しいのにしょっちゅう呼び出されても困る」と言います。それが何となく態度に出てしまい、母は「Aちゃんがこんなことを言ってた、来てもすぐに帰っちゃう」と涙ぐむし、妹は「お母さんの希望を全部聞いてたらこっちが倒れる」という怒りのメールをよこすしで、矛先になった私は二人のフォローに骨が折れました。二人とも言うだけ言ってケロッとしているのでまだ救われましたが……。


母は昨年の夏、脱水症状を起こし、一時的に体調を崩してしまいました。体に力が入らず、一人では起き上がることもできず、起き上がったら横たわることができません。文字通り動けなくなってしまったのです。昼は妹が実家に詰め、夜は私が泊まり込むといった状態がしばらく続き、妹から「お姉ちゃんの会社は介護休暇は取れないの?」と何度も聞かれました。幸いなことに半月ほどで快復したものの、もし長引いていたら? もし状態が悪くなっていたら?と思うとぞっとします。

介護時短、介護休暇は無制限ではありませんし、介護は全く先が見えません。今日終わるかもしれないし1か月後かもしれない。1年後かもしれないし、もしかしたら10年、20年続くかもしれません。そして本人の状態も良くなることはありません。制度を利用された方はどういったタイミングで取得されたのか、伺ってみたいです。


介護は必ず周囲(家族)を巻き込んだものになります。どこまで家族でできるのか、家族でできなくなったらどうするのかを本人や家族の希望、経済状況など踏まえて、前以て考えておく必要があると思います。


「介護保険を使うのは寝たきりや認知症の人」と思いこんでいました。要介護4、5といった状態の方から見れば、母などは介護のうちには入らないと思われるかもしれません。しかし母のような状態でも、受けられる介護サービスがあるのです。もう少し早く親の老いと向き合って真剣に考えていたら……と悔やまれます。今更ながら介護の勉強を始め、今後に役立てたいと思っているところです。