カラダとココロの健康アドバイス カラダとココロの健康アドバイス

ぐっすり眠るための明かりの取りいれ方

今日の疲れをとって、明日も生き生き過ごすためには、質のよい睡眠が重要です。明かりの取りいれ方を工夫して、心地よい眠りにつきましょう。

Point1

睡眠ホルモンと明かりの関係

夕方になり、あたりが暗くなってくると、睡眠ホルモンといわれるメラトニンが分泌され始め、眠りの準備が始まります。メラトニンは暗いところにいるほど分泌されやすいので、十分に分泌されるような環境を作ることが、快眠への第一歩となります。
就寝時間に向けて照明を落とし暗めの部屋で過ごすと、メラトニンの分泌が促進され眠気が強くなっていきます。

そこで重要なのが照明の明るさです。
光には、照度(明るさ)と色温度(色味)があり、これらのバランスでさまざまな表情をみせます。
照度は明るさのことで、ルクスという単位が用いられ測定することができます。一般的な住宅の室内は100~1,000ルクスといわれ、メラトニンは150ルクス程度になると分泌が高まるといわれています。
色温度は、高いほど光の色は青白く、低いと赤っぽい色、夕日のようなオレンジ色になります。
一般的にリラックス効果が高いのは、「照度、色温度ともに低い明かり」とされています。このような明かりが夕日のように斜めから当たると、私たちはくつろいだ気分になると同時に、メラトニンの分泌も促進され、心地よい眠りへといざなわれるのです。

明るさの目安
画像を拡大する(新規ウィンドウを表示)

色温度

Point2

眠りをいざなう明かりの取りいれ方

最近はLED電気が普及して、明るさや色を調整できる照明器具も増えました。時間帯によって明かりの具合を切り替えて、夜は照度と色温度を落としてみましょう。 通常の電球なら、暖かみのあるオレンジ色の白熱灯がおすすめです。
そのほか、気持ちよく眠りにつくための明かりの取りいれ方をまとめました。

(1)間接照明を取りいれる

天井や壁などに光源を当てて、反射で得られた明かりで過ごしてみましょう。間接的な照明の光は、柔らかく感じられます。
取り付け型の間接照明のツールも販売されていますし、テーブルライトやライトスタンドなど間接照明器具を置いて簡単に取りいれることもできます。

(2)キャンドルをともす

暖かみのあるキャンドルの炎は、人工では再現できない天然のもの。赤系の色味とほのかな明るさに揺らぎも加わり、リラックス効果が高まります。
炎を見ていると、心が落ち着くだけでなく、癒やし効果もあるといわれています。

(3)小さな明かりで過ごす

さらに進んで、部屋の電気を消して、最小限の明かりで過ごしてみるのはいかがでしょうか。窓の外の明るさや家電の待機ランプなどでも、部屋は案外ほの明るいもの。
キャンドルや小さなライトなど最小限の明かりで過ごして、トイレやお風呂に移動するときはフットライトや懐中電灯を使って足元を照らしましょう。安全には気をつけて。

蛍光灯の青白い明るさに慣れていると、暗めの照明はもの足りなく感じるかもしれません。
しかし、自分の行動を遮らない範囲で室内を暗くして過ごすのも、慣れてくると案外リラックスして、心地よく感じられるでしょう。

Point3

良い眠りにつくための「朝の過ごし方」

夜、気持ちよく眠りにつくためには、朝の過ごし方も重要です。目覚めたら、窓を開けて空を見ながら深呼吸。光を脳に届けるイメージで約1分、太陽の光を浴びましょう。 その際、直接太陽を見ないように注意しましょう。
効果は三つあります。

【光を浴びる効果】

①メラトニンの分泌をストップ
眠気が抜けて、すっきりと目覚めます。

②体内時計をリセット
体内時計の針を進めて誤差をリセットし、新たな時を刻み始めます。
朝、しっかりリセットできれば、15~16時間後、メラトニンが分泌され始めます。

③セロトニンの分泌を活性化
気持ちが明るくなって、日中活発に過ごすために必要な脳内物質のセロトニンの分泌が活性化されます。

朝、2,500ルクス以上の光を浴びると体内時計がリセットされるといわれています。
太陽光の照度はとても高く、5万~10万ルクス程度。曇っていても屋外なら1万ルクス程度あるので、晴れていない日でも、起きたらカーテンを開けて、外の明るさを感じましょう。

監修

三橋美穂 有限会社Sleepeace(スリーピース)代表 快眠セラピスト/睡眠環境プランナー
寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。睡眠を多角的にとらえた実践的なアドバイスと手軽にできる快眠メソッドが、テレビや雑誌などで支持を集め、睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍中。
主な著書は『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)、『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)など。
日本睡眠学会正会員、日本睡眠環境学会正会員、東京大学医療政策人材養成講座第4期修了
http://sleepeace.com/