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カラダとココロの健康アドバイス

飲む美容液 甘酒の魅力

日本で古くから飲まれている代表的な発酵食品のひとつ、甘酒。栄養豊富なことから、江戸時代には庶民の夏バテ防止や体力勝負の飛脚の疲労回復のために飲まれていました。最近では「飲む点滴」「飲む美容液」といわれています。人気の麹で作った甘酒の魅力と、暮らしへのじょうずな取り入れ方を紹介します。

Point1

甘酒の原料、麹ってどんなもの?

甘酒は、米(ご飯)を「麹」で「発酵」させて作る昔ながらの飲み物です。
「発酵」は、微生物が行う生命活動のひとつです。微生物の働きによって食べ物が分解されてできた物質が人間にとって有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」となります。日本では昔から、微生物の力をうまく利用して発酵食品を作る食文化が根づいています。

麹を作る「麹菌」は、日本では発酵にかかわる微生物の代表格です。麹菌を米や麦などの穀物にまぶし繁殖させた加工品は、それぞれ使用する穀物によって米麹、麦麹などといわれます。麹菌は日本特有の菌で、日本醸造学会によって国菌に定められています。甘酒以外にもみそやしょうゆ、日本酒、みりん、米酢などもこの麹菌の働きによって作られます。
一般的に米麹は「麹」と呼ばれ、生のものや乾燥させたものが流通しているので、これを使うことで家庭でも発酵食品が作れます。後述する麹も、米麹をさしています。

Point2

甘酒はどうやってできるの?

甘酒の原料になる麹の中には、麹菌が繁殖する際に作り出した酵素が100種類以上含まれています。代表的な酵素はデンプンを分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼなどです。これらの酵素の働きによって、食べ物が分解され、甘みやうまみが生じます。
甘酒は、麹、米(ご飯)、水を混ぜて、酵素が活性化される55〜65度まで温度を上げ、5〜20時間ほど発酵させることによって、アミラーゼが米のデンプンを分解して、ブドウ糖を生成し甘くなります。分解された米はドロドロになり、甘酒ができあがります。

2種類ある甘酒

麹からできる甘酒は、2種類あります。ひとつは、米と麹からできた甘酒。こちらは甘酒という名前ながらアルコールは含まれていません。
もうひとつは、日本酒を作るときにできる酒粕(さけかす)と砂糖をお湯で溶いた甘酒です。日本酒も同じく酒米と麹でできていますが、麹で分解された米に乳酸菌や酵母菌が加わり、さらに発酵させて作られます。ここでできる副産物の酒粕は、発酵の過程でブドウ糖がアルコールに変化していて甘さがあまりありません。そのため酒粕で甘酒を作るときは砂糖を加えて味を調えるのです。酒粕にはアルコール分がわずかながら残っているので、お酒の風味を感じる人もいるでしょう。子どもや妊婦さんが飲むときには注意が必要です。
米と麹、同じ原料でも作る工程によって違った味わいと栄養の2種類の甘酒があるのです。

Point3

甘酒はここがすごい!

米(ご飯)と麹で作った甘酒は、「飲む点滴」といわれるように栄養豊富です。エネルギーや疲労回復につながるブドウ糖、タンパク質のもとになる9種類の必須アミノ酸、ビタミンB群、葉酸、食物繊維など、通常の食生活で卵、乳製品、豆、動物性タンパク質などをまんべんなく摂取しないと得ることができない栄養素が、甘酒にたくさん含まれています。
そのため、体が疲れているときに飲むと即効性のある栄養ドリンクになります。ただし、通常の食事にプラスすると糖分の摂取量が増えることになるので、とりすぎには注意しましょう。

とはいえ、甘酒の糖分は精製された白砂糖と同じではありません。精製されて甘みが強い白砂糖は糖度が高く、摂取後の血糖値が急上昇するのに対して、甘酒はやさしい甘さで、血糖値の上昇が緩やかであることが明らかになっています。
また、甘酒には代謝を高める酵素が豊富に含まれているため飲むと体が温まります。オリゴ糖が腸内細菌(善玉菌)の餌になり腸内環境の改善につながることから、便秘予防やアレルギー症状の緩和などさまざまな健康効果も期待できます。
さらに、麹菌が作る発酵代謝物のコウジ酸には美肌効果があり、化粧品にも配合されることがあります。このようなことから「飲む美容液」などともいわれています。甘酒は、健康や美容を助けるたくさんのメリットがあるのです。

Point4

甘酒生活を始めよう

甘酒を栄養ドリンクとして飲む場合は、1日に100〜200mlが目安の量です。朝は脳の活性化に、夜は疲労回復やリラックスに役立ちます。脂っこい食事と一緒にとれば脂肪の分解や消化を助けます。
また、おすすめなのが甘酒を砂糖代わりに使うこと。まずは手軽に米麹でできた市販の甘酒を使ってみてはいかがでしょうか。市販品は流通上、品質管理のためにすでに加熱処理されていることが多く、酵素の働きはほとんど失われています。しかし、栄養分は残っていますので、甘みや栄養をとり入れる目的で砂糖を甘酒に置き換えてみましょう。使用の目安は、砂糖1:甘酒2.5〜3。砂糖を大さじ1使うレシピの時は、甘酒を大さじ2.5〜3の量を入れて、甘みを確認してみてください。
通常は砂糖を入れない料理にも甘酒を少し加えると、酸味や苦味がまろやかになって違った風味を楽しめます。

精製した白砂糖のように強い甘みはありませんが、使い続けるうち甘酒のやさしい甘さに慣れて、味覚が少しずつ変化してきます。気がついたら白砂糖の甘さが必要ないと感じられるようになっているかもしれません。
甘酒生活に慣れてきて、酵素もとりたいと思ったら、麹(生または乾燥)を購入して手作りしてみましょう。酵素を活性化させるために60度前後のお湯を用意します。麹1に対し、お湯1〜1.5を混ぜ合わせ、この温度を5〜20時間キープします。
保温は、炊飯器の保温機能を使うことができます。また魔法瓶、IH調理器、ヨーグルトメーカーなど、自宅にあるものや自分が使いやすいと思ったもので、気軽に挑戦してみましょう。保温中、糖度はゆっくり上がっていくので、お気に入りの甘さに出合えるかもしれません。

夏にぴったり、アレンジ甘酒ドリンク

暑い季節に喉を潤す、甘酒ビネガースカッシュを紹介します。
作り方は簡単です。甘酒と炭酸水を1:1の割合でグラスに注いで割り、好みの果実酢や黒酢を小さじ1杯程度加えます。発酵食品であり、疲労回復や食欲促進が期待できる酢を加えて、さっぱりとしたスカッシュができあがります。

監修

オレガン愛美
日本発酵文化協会 発酵マイスター、発酵プロフェッショナル、麹でロハス推進会 上級麹士
激務で体調不良に陥り、キャリアブレイクに入ったのをきっかけに日本の発酵食品文化の勉強を始め、麹のすばらしさに魅せられる。長年の海外生活を生かし、2019年、【麹をもっと洋食に】をテーマに起業。麹が引き出すうまみを利用した無添加の調味料の開発、販売、およびワークショップなどを通し、麹の活用を現代食に広げるべく活動中。

Atelier de Koji(アトリエ・ドゥ・コージ)