カラダとココロの健康アドバイス カラダとココロの健康アドバイス

花を飾って自宅をリラックス空間に

コロナ禍が長引くにつれ、癒やしを求めて花を買う人が増えているそうです。
花を見ることによる生理的なリラックス効果は、千葉大学 環境健康フィールド科学センターの研究によって検証されています。花の有無によって心拍に異なる傾向が見られ、花があるときにはストレスが緩和されたり、リラックス効果が高まったりしていることが分かったのです。
今回は、そんな癒やし効果がある花を、自宅でより豊かに楽しむためのちょっとしたコツをご紹介します。

Point1

自宅に“花の居場所”を作る

花のある生活を定着させるためにはまず、家の中に“花の居場所”を作ることから始めましょう。花の専用スペースを確保して、常に花を配置するのです。
インテリアの一つのように、そこにはいつも花がある。その心地よさが、花のある日常を揺るぎないものにしてくれるはずです。
“花の居場所”は、できるだけ直射日光や風が当たらない涼しい場所を選ぶといいでしょう。

Point2

花の選び方

その日の気分で花をピックアップするのも楽しいものですが、より深く花を楽しみたい人はぜひ、花屋の店員さんにおすすめを聞いてみましょう。見頃を迎えた季節の花や長持ちする花など、あなたにぴったりな花を教えてくれるはずです。
ここからは、花を選ぶ際に店頭で意識したい点を2つご紹介します。

①花瓶の大きさと形状を意識

使用する花瓶によって、そこに飾ることができる花が絞られてきます。店頭でおすすめを聞く際にも、まずは手持ちの花瓶の大きさや形を伝えましょう。
花瓶には、ジャムの空き瓶やコップなどを活用してもかまいません。大きさが異なるものをいくつか備えておけば、飾れる花のバリエーションが広がります。瓶の形状は問いませんが、内部が洗いやすいよう広口になっていれば理想的です。

②花1輪+グリーン1本でバランスよく

好きな花を1輪飾るだけでもすてきですが、さらに豊かに楽しみたいときはグリーン(葉物)を1本添えてみましょう。それだけでグッと全体のバランスがよくなり、落ち着きが生まれます。
グリーンはおおむね花よりも長持ちします。花が枯れてしまったら、残ったグリーンに合う別の花を加えてみるのもおすすめです。そうして新たな組み合わせを生けることで、花とグリーンのさまざまな表情を引き出せます。
グリーンと一口に言っても、葉の色の濃淡や形状、質感など実にさまざま。花はもちろん、そのグリーンの個性を堪能するのも味わい深いものです。

Point3

花を生けるときのコツ

水を入れた花瓶に花を挿す。ただそれだけのことですが、ちょっとした工夫をするだけで花のもちがよくなったり、美しく見せたりすることができます。

①「水切り」で吸水力アップ

買ってきた花は花瓶に入れる前に、ためた水の中で茎をカットする「水切り」のひと手間を加えましょう。茎の断面が空気に触れないため、その後の吸水がスムーズになります。より効果を高めたいなら、断面が斜めになるように切りましょう。

②水の量は少なめに

花瓶に入れる水の量は、花を生けるうえで最も重要なポイント。
意外に思われるかもしれませんが、水はたっぷり与えるのではなく、必要最低限にとどめましょう。水が多ければその分バクテリアも増え、水質が悪くなるからです。目安としては、花瓶の底から指3本分くらいの水があれば十分です。

③花瓶と花の黄金比を意識

花瓶が倒れたりすることがないよう茎の長さを調節し、バランスよく花を生けましょう。その際、花瓶の高さと、花瓶から出ている部分の高さの比が2:1になるようにするときれいに見えます。

Point4

花に優しい「お手入れ」のヒント

花を生けたら、1日1回は水を替えてお手入れをしましょう。ほんの数分の簡単なお手入れを通して、日に日に変化する花の様子を感じることができるはず。植物のパワーを五感で受け取ることで、リラックス効果も高まります。

①ぬめりを洗い流し、しおれた部分を摘み取る

花瓶の内部や茎にぬめりが出ているときは、水できれいに洗います。さらに、しおれている花や葉を摘み取るなど、美しさを保つためのメンテナンスをします。

②茎を少しカット

花瓶の水を入れ替えるタイミングで、茎を少しカットします。こうして茎の断面をリフレッシュさせることで、吸水力の低下を防ぎます。このときも、水の中で切りましょう。

③塩素系の漂白剤を1滴入れる

塩素系の漂白剤には殺菌作用があり、バクテリアの繁殖を抑えることができます。水を替え忘れた翌日や夏場など腐敗が進みやすいときには、水の中に塩素系漂白剤を1滴入れておくといいでしょう。
花瓶の中の水質は、花の健やかさに大きく関わります。水を常に清潔に保つことを心がけてください。

Point5

花がしおれてきたときには

どれだけ環境を整えケアしても、時間がたてば生花は必ずしおれてきます。そんなときに有効な方法をご紹介します。

①水をきれいに保ち、葉を取り去る

前述したように、まず重要なのは水を清潔に保つこと。そのうえで、延命したい花だけを残して葉を取り去りましょう。
花にとって水は、人間にとっての血液のようなもの。そして茎には、まるで血管のように水の通り道があり、そこを経由して葉や花へと水を届けています。そのため、葉を取り去ればその分、水の供給を花へと集中させることができ、花を元気にすることができます。
また、水を花へと届けやすくするためには、茎を短くカットすることも効果的です。

②新聞紙に包んで水につける

茎がだらりと曲がったり、花がしおれたりしたときには、深水(ふかみず)と呼ばれる方法で復活させることができます。
まずは、根本から花にかけての全体を新聞紙でタイトに巻いて固定します。その状態で、茎の部分を深く水に浸けて半日ほど待つのです。そうすることで、曲がっていた茎が矯正され、水を吸い上げやすくなります。
ただしこの方法を、1つの花に対して行えるのは1回だけ。また、すべての花に効果が期待できるわけではありません。

③ドライフラワーにする

しおれてしまった花は、水から出して風通しのよいところで逆さにつるし、ドライフラワーにするのもおすすめです。水分量が多いものなど、花の種類によってはドライフラワーに適さないものもありますが、試してみる価値はあるでしょう。

監修

二階堂洋子
シーズンズフラワーショップandスクール主宰
フラワーショップでの修業期間を経て、2004年に独立。東京・入谷にて、スクールを併設したフラワーショップを営む。スクールでは小学生から大人まで幅広い世代の生徒に、季節の花に触れて自由な発想で楽しむことをレクチャーしている。

http://www.seasons-flower.net/