カラダとココロの健康アドバイス

体に負担をかけない座り方

普段自分がどんな姿勢で座っているかを意識したことはありますか?日頃の座り方を見直すことで、肩こりや腰痛などの不調を防ぎ、筋力の低下も抑えられます。体に負担をかけない座り方をご紹介します。

Point1

座り方が悪いと腰痛や肩こりにつながる

無意識のうちにスマートフォンを見ながら猫背になったり、足を前に出して背もたれに寄りかかったり、腰が反った状態で座っていないでしょうか。こうした姿勢を続けていると、座っているだけで肩や腰に負担がかかります。肩の僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲骨(けんこうこつ)周辺の負担が大きいと肩こりや肩関節周囲炎(五十肩)につながります。背中だけでなく腰も丸まってくると背骨を支える脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)に負担がかかり、腰痛につながりやすくなります。高齢になって筋力が弱くなれば胸椎が負荷を支えきれずに圧迫骨折を招くこともあります。
筋肉は使っていないと衰え、放置すれば、将来、寝たきりにつながるリスクも高まります。肩こりや腰痛などの不調は体の機能が低下しているサインですから、座り方の習慣を見直し、日頃からよい姿勢を保つことで、インナーマッスル(体幹の安定や正しい姿勢の維持に関わる深層筋)を働かせるように意識しましょう。

身体の使い方(モーターコントロール)

正しい姿勢をキープするにはインナーマッスルを使うことが大切

首=頸長筋(けいちょうきん)・多裂筋(たれつきん)
背中=菱形筋(りょうけいきん)
おなか(体幹)=腹横筋(ふくおうきん)

Point2

体に負担をかけない座り方のポイント

まずは、骨盤の傾きを意識しましょう。骨盤前傾姿勢は反り腰を助長し、椎間関節や脊柱起立筋に負担がかかりやすくなります。逆に骨盤後傾は椎間板に負担がかかり、椎間板ヘルニアなどの要因となります。骨盤の傾きを前傾でもなく、後傾でもない、ニュートラルなゾーンに保つことが大切。これを調整する筋肉がインナーマッスルの腹横筋と多裂筋です。
アウターマッスルになるべく負担をかけずにインナーマッスルだけを働かせるのは意外と難しいかもしれません。緊張状態で交感神経が活発な状態だとアウターマッスルが過剰に働きますので、リラックスすることも大切です。

骨盤の位置

前傾

ニュートラル

後傾

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Point3

デスクワークが続くときは

パソコン画面と長時間向き合うデスクワークは、カメのように首を前に突き出す前傾姿勢になりがち。これを続けると、僧帽筋など肩まわりの筋肉が常に緊張状態となり、首を痛めたり、肩がこる原因になります。
すぐに疲れて姿勢を保っていられない人は、背もたれとの間にクッションを入れたり、市販のサポートグッズを使うとよいでしょう。背骨の湾曲や体の状態は一人ひとり違うので、自分の体に合わせて調整してください。

・マウス、キーボードは近い位置で(肩甲骨は寄せた状態で使う)

・画面は目の高さの水平線より少し下

・ハンドレスト、フットレストなどを使うのもよい

Point4

座り姿勢を助けるエクササイズ

長時間座っているときは、10〜20分ごとに座ったままでもできるエクササイズを取り入れて、体を動かすのがおすすめです。基本的な動きなので気づいたときに毎日行いましょう。

●肩甲骨寄せ

①手のひらを内側にし、両腕を上げる。

②手のひらを外側に向けながら肘の角度が90度になるくらいまで腕を下げていく。

③下ろしたら肩甲骨を中央に寄せて5秒保つ。肩甲骨の内側の菱形筋が刺激されるのを意識する。

●水平あご引き

①背筋をまっすぐ伸ばして肩の力を抜き、まっすぐ前を見る。

②あごを水平に突き出す。

③肩の位置を変えないように、あごと頭部を水平に後ろに引く。(頭がうなずくように前に傾くと首の骨を支える頸長筋が働かない。視線をまっすぐ、あごを軽く指で押してもよい)

よい座り方であっても、「同じ姿勢をずっと続けない」ということも大切です。重心を移動したり、モゾモゾと動くことも体の負担を減らすには効果的です。骨盤の傾きをニュートラルゾーンの中で頻繁に動かすのもよいでしょう。

監修

金岡 恒治 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
筑波大学整形外科講師を務めた後に、2007年から早稲田大学でスポーツ医学、運動療法の教育・研究にたずさわる。シドニー、アテネ、北京五輪の水泳チームドクターを務め、ロンドン五輪にはJOC本部ドクターとして帯同した。アスリートの障害予防研究に従事しており、体幹深部筋研究の第一人者。日本整形外科学会専門医、JSPOスポーツドクター、日本水泳連盟理事・医事委員長、JSPOアスレティックトレーナー部会員、JOC情報医科学専門部会員、Tokyo2020組織委員会アドバイザーほか。『腰痛のプライマリ・ケア』(文光堂)、『一生痛まない強い腰をつくる』(高橋書店)など著書多数。東京広尾のコアトリムステーションにて腰痛のセカンドオピニオン外来実施中。