カラダとココロの健康アドバイス

デジタルデトックスで脳をリフレッシュ

スマートフォン(以下、スマホ)を触り始めると、次々に魅力的な動画やコンテンツが現れ、気づくとあっという間に時間が過ぎていた―。こんな経験がある人は少なくないでしょう。
スマホから少し距離を置くことで、日常の脳の疲れを軽減する「デジタルデトックス」についてご紹介します。

Point1

デジタルデトックスとは?

「デジタルデトックス」という言葉は2010年代、iPhoneが普及し始めたタイミングで出てきた言葉です。デジタルデトックス協会では、一定期間スマホなどのデジタルデバイスの使用を控えて休息を取ること、デジタルデバイスの使用時にもできるだけストレスの少ない使い方をすること、という2つを定義しています。
「スマホを手放して生きていこう」「AIなどのデジタルは使わない生活をしよう」という活動と誤解を受けることもありますが、「デジタルデバイスに依存するのではなく、共存していきましょう」という取り組みです。
実際に現代社会では、デジタルデバイスから離れて生きていくというのは非常に難しいことです。一般的な人でも、1年間のうち約3カ月分の時間はデバイスの前にいるという試算結果もあります※。
離れるのが難しい代わりに、少しでもデジタルに触れないお休みの時間を取って、生産性も幸福度も上げるという提案がデジタルデトックスです。

※出典元:森下 彰大(2025).『戦略的暇―人生を変える「新しい休み方」―』.飛鳥新社

Point2

脳疲労を取るデジタルデトックスの効果

第一は、脳疲労の軽減です。脳の疲労を取るためには、十分な睡眠と併せて、起きている間もできるだけ『ぼーっと』する時間をつくることが重要です。ぼーっとしている間に、実は頭の中ではいろいろな情報整理がされていて、そこから新しいアイデアが生まれてきたりするのです。
第二は、外部からの通知などをシャットアウトして、作業に集中できる「フォーカスタイム」をつくることです。現代人は、例えばメールの返信をしていたらチャットの通知が来て、さらに電話がかかってくるというマルチタスクの状態が常です。一つのことに集中する時間をつくることは、生産性を高めるだけでなく、人の幸福度にも影響します。何かに集中して取り組めると満足度は上がり、逆に何かに気を取られて1日を過ごすと満足度は下がります。スマホを手に取らないだけで、例えばカフェでお茶を飲んでいても、味や会話に集中できます。

デジタルデトックスの効果

・気持ちがスッキリする

・目の疲れが取れる

・頭(脳)の疲れが取れる

・睡眠の質が良くなる

・ストレスが減る

・あんしん感が増す

・想像力(創造力)が高まる

・ひらめきが良くなる

・五感がさえる

・幸せな気持ちになれる

※引用元:https://digitaldetox.jp/digitaldetox/

Point3

デジタル依存が心身に与える影響は

現代は、デジタルデバイスから新しい情報がランダムに入ってきますが、これは脳が一番興奮する状態です。脳は興奮状態になると疲れに気づきにくくなり、その状態が続くと、知らぬ間に脳が過労状態に陥ってしまいます。そうすると、意思決定が難しい、感情のコントロールができない、記憶力や集中力が落ちるといった症状を引き起こす可能性があります。
「スマホ依存」という言葉がありますが、実際に使いたくて使っているというよりも一種の同調圧力にさらされている部分も少なくないのではないでしょうか。海外の高校生を対象にしたアンケートでは「周りがSNSを使っていないなら自分も使いたくない」という割合が高かったという結果があります。

実は同調圧力でみんなが使わざるを得なくなっているのであれば、休む勇気をみんなで持って、ちょっと一休みしようという流れをつくることで、社会全体にも良い効果をもたらすことにつながるかもしれません。

Point4

デジタルデトックスの始め方

日常生活でも簡単にデジタルデトックスに取り組みやすい方法をいくつかご紹介します。

●デジタルデバイスを使えない環境に身を置く

まずはスマホなどから物理的な距離を取ることから始めてみましょう。スマホを持たずに散歩に出てみる。トイレやちょっとした休憩に出るときにスマホを持っていかない。日常の中で、2、3分でもいいので、スマホに触れない時間をつくるように意識してみましょう。温泉やサウナに行ったり、趣味やスポーツに没頭したりする時間をつくるのも効果的です。

●SNSにアクセスしにくい環境をつくる

SNSのアプリを一定期間スマホからアンインストールして、アクセスしにくい環境を意図的につくってみましょう。SNSに即アクセスできる状態は、食卓にお菓子がたくさん並べてあるのと同じ状態。ついつい手が伸びて、気がついたら依存度を高めてしまうということにもなりかねません。どうしても見たくなったらパソコンからアクセスするという一手間をかけるだけで、見る回数はぐっと減ります。

●食事中はスマホを触らない

テーブルに1人1台スマホを置いたまま食事をして、通知が来るとチェックするということが常態化していないでしょうか。食事の時間は、目の前の料理をしっかり味わったり、家族や友人との会話を楽しんだりすることで、脳が回復し癒やされるための大事な時間です。食事中はスマホをカバンにしまったり、別の部屋に置いたりして、食卓にスマホを持ち込まない工夫をしてみましょう。

Point5

スマホを手放す心地よさを体験

まずは、日常生活の中で、数分でもいいのでスマホから離れる時間をつくることから始めてみましょう。「通勤のこの区間だけ」「食事の間だけ」など自分なりのデジタルフリーゾーンを決めて、小さく始めることがリバウンドしないコツです。
逆に、旅に出るなど日常生活から離れて、スマホを手放す時間の心地よさを体験してみるのもいいでしょう。その心地よさを日常に持ち帰ることが、モチベーションを維持する一助にもなります。

デジタルデトックスを最終目標にするのではなく、自分が楽しい、心地よいと思うことを見つけて「気がついたらスマホを触っていなかった」という時間をつくれるのが健康的です。以前から気になっていたこと、挑戦してみたかったことを始めてみたら、副産物としてデジタルデトックスがついてくることもあります。「デトックスしなくては」と力を入れるのではなく、まずは楽しそうなこと、夢中になれることを探すところから始めてみませんか。

監修

森下 彰大 日本デジタルデトックス協会理事
「デジタルデトックス・アドバイザー養成講座」主宰。ウェブメディア編集者として、主に国内外のデジタル・ウェルビーイング関連動向を調査。企業・個人向けイベントや講演活動、デジタルデトックス・プログラムの共同開発も行う。

https://digitaldetox.jp/