Chapter4

どんな検査を受けるの?

初期の卵巣のう腫には自覚症状がないため、レディースドックでの経膣エコー検査や妊娠した時に受ける検査でわかることが多いようです。腹痛などのきっかけで婦人科を受診して卵巣のう腫が疑われる場合は、以下のような流れで検査が進みます。

内診では主に卵巣の大きさを調べます。大きくなっていればこの段階でわかります。超音波検査は、のう腫の位置や大きさ、中身などを調べ、悪性か良性か、おおよその判断をします。血液検査では血中に含まれる「腫瘍マーカー」を調べ、良性か悪性かの判断材料とします。

Chapter5

どんな治療を受けるの?

ある程度大きくなったら手術で摘出

実はまだ、子宮内膜の増殖によって起こる「チョコレートのう腫」以外については、はっきりとした原因がわかっていません。原因を止める薬などがないので、のう腫を切除する手術が一般的です。のう腫の大きさが40歳未満で5cm、40歳以上で4cmを超える大きさになったら手術の対象となります。また、のう腫が大きくなるスピードが速い場合も手術を勧められることがあります。

手術の主流は核出手術

現在は技術も進み、のう腫だけを取り除き、卵巣は残す「のう腫核出術」が主流です。卵巣が残るので、手術後も妊娠できる可能性が残ります。体の負担が少ない腹腔鏡手術が行われることが多いのですが、のう腫が大きい場合は、より切除しやすい開腹手術となることもあります。

腹腔鏡手術の場合は手術後4日ぐらいで抜糸、1週間ぐらいの入院で済みます。痛みもあまり感じない人が多いようです。開腹手術の場合も入院期間はさほど違いませんが、腹筋の力が落ちて立つ、歩くなどの動作がつらいため、しばらくは自宅での静養が必要。日常生活への復帰までにはやや時間がかかると考えておきましょう。

場合によっては経過観察や投薬も

妊娠中に卵巣腫瘍が見つかると、悪性なら安定期に入ってから手術をしますが、良性の場合はたいてい経過観察になります。まれに、のう腫が大きくて産道を圧迫している場合は、医師の判断で帝王切開になることもあります。「子どもが欲しい」という希望がある人は、レディースドックなどで検査を受け、妊娠までにのう腫の有無をチェックし、必要なら治療を終わらせておきたいものです。

チョコレートのう腫に関しては子宮内膜症が原因であることがわかっています。子宮内膜症を抑える、低用量ピルなどの処方薬で治療をすれば、改善・予防にもつながります。ただし、医師の指示通りに薬をのまず、勝手に服用を中断してしまうと、一度は落ち着いていたのう腫の症状が再発することもあるので、注意しましょう。

Chapter6

費用の目安

  • 卵巣のう腫の手術…………………………
    20万~40万円くらい
  • 手術前の検査………………………………
    2万~6万円くらい
  • チョコレートのう腫の処方薬代…………
    月2000~5000円くらい

※自己負担3割の場合

卵巣のう腫の手術は、のう腫の状態や手術方法にもよりますが、健康保険適用の3割負担でおよそ20万~40万円。別途、術前の検査で2万~6万円ぐらいかかると考えておきましょう。

チョコレートのう腫の処方薬代は、使う薬によって違ってきますが、月2000~5000円ぐらいを目安に考えましょう。

Chapter7

ドクターからのアドバイス

よく「年に1回はレディースドックを」と言われますが、これは子宮を中心に考えられていること。実は卵巣に焦点を当てて考えた場合、検査は「半年に1回」が理想です。特に小さなものでも卵巣のう腫が見つかっている場合には、医師の指示に従って、1か月ごと、3か月ごと、半年ごとに、しっかりと検査を受けましょう。

角ゆかり先生

虎ノ門ウィメンズクリニック院長。東京女子医科大学卒業。 慶応義塾大学病院勤務、パークサイド広尾レディスクリニック院長などを経て、2007年虎ノ門ウィメンズクリニック開院。現在に至る。