Chapter4

どんな治療法があるの?

症状に個人差のあるPMSは対処法もさまざま

低用量ピル、超低用量ピル

今すぐに妊娠する予定がない場合、避妊薬としても使用される低用量ピルや超低用量ピルなどが処方されます。ピルは種類が多く、効き方や副作用の吐き気などの出やすさも人によって違います。最初に処方された薬が「ちょっと合わない」と思ったら、服用を中止して、次回の診察時に医師と相談しましょう。1回であきらめず、自分の体質に合う薬が見つかるまで、薬を替えて試してみることが大切です。ただし、処方薬に年齢制限があるわけではありませんが、35歳以上で喫煙習慣がある人には、おすすめできません。

漢方薬

ピルに抵抗がある人や、症状から医師が「向いている」と判断した場合は、漢方薬が処方されることもあります。「加味逍遥散(かみしょうようさん)」や「抑肝散(よくかんさん)」などの漢方薬は、どちらもイライラなどの精神症状を抑える効果があることで知られている薬です。また、むくみが強い場合は「柴苓湯(さいれいとう)」や「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などが処方されることもあります。漢方は「効果が出るまでに時間がかかる」というイメージかもしれませんが、症状にピタリと合った薬が処方されれば、よく効きます。

その他

また、精神症状が強く不安定になりやすい人には、軽い安定剤や睡眠導入剤などが処方されることもあります。

Chapter5

セルフケア

規則正しい生活、十分な睡眠時間を心がけましょう。栄養バランスのとれた食事も重要です。血糖値が不安定だと心が不安定になりやすいといわれています。甘いものの食べ過ぎには気をつけましょう。
水分もしっかりと補給しましょう。ただし、体に水を溜めやすくする塩分やコーヒーなどのカフェインが強い飲料、アルコールなどは控えめにしましょう。有酸素運動やストレッチなどの軽い運動や、アロマ、ハーブ、マッサージなどでリラックスするのもおすすめです。

Chapter6

費用の目安

医療機関によっても異なりますが、初診料、再診料のほか、低用量ピルの場合、薬代が1か月分2,000~3,000円程度(健康保険適用外、院内処方)、漢方では健康保険3割負担で3,000円程度(別途処方箋料など)かかります。

Chapter7

ドクターからのアドバイス

生理痛やPMS、PMDDなどの憂うつな症状は、つい我慢してしまいがちですが、適切な治療をすれば必ず楽になります。
女性の体質はライフステージによって変化します。なかには出産後に、それまでなかったPMSが出始めた人もいます。「つらいな」と思ったら、一度産婦人科医に相談してください。それがきっかけで、大きな病気を芽のうちに摘めるような、産婦人科医との“いい関係”が作れたらうれしいと思います。

麻布十番まなみウィメンズクリニック
院長 今井愛先生

日本産科婦人科医学会専門医。1993年、北里大学医学部卒業 同大学産婦人科教室入局。イタリア・ナポリ大学留学、北里大学産婦人科学専任講師を経て、2010年、麻布十番まなみウィメンズクリニックを設立し、院長に就任。