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乳腺症 【監修:ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長 島田菜穂子先生】

乳がんに対する意識の高まりによって、検診や診察を受ける女性が増えてきました。近年、乳腺症という言葉を耳にする機会も増えています。
乳腺症は、特に30~40代によく見られるホルモンの影響による乳腺の変化であり、治療を必要とするいわゆる「病気」ではありません。
しかし、症状はがんと共通するものもあり、症状がある場合は自分で判断せずに、乳腺科で診察を受けることが大切です。

Chapter1

乳腺症って病気なの??

乳房は大きく分けて、乳腺(小葉と乳管)と脂肪組織で構成されています。月経前には女性ホルモンの分泌量が増え、これに乳腺が反応して、乳房に張りや痛みが生じる状態を乳腺症といいますが、病気ではありません。基本的にがん化するものではありませんが、乳腺が女性ホルモンの刺激でさまざまな反応をしている状況であり、特に女性ホルモンの働きで乳腺の細胞増殖が強い場合などは、部分的にがん化する異型細胞を発生する場合もあるので、乳腺症の症状がある場合は、より定期的な検診が重要です。
また、「乳腺炎」というよく似た名前の病気があります。これは、乳腺の炎症によるもので、授乳中などに乳首の傷から細菌が入り込んで乳房が赤く腫れて熱くなり、痛みが出るなど、乳腺症とは異なり治療が必要です。

Chapter2

どんな症状が出るの?

主な症状には、乳房が張る、痛む、硬くなる、触れるとしこりを感じるなどが挙げられます。月経前に症状が強くなり、月経が始まると和らぐのが特徴です。乳房内の乳腺の分布は一人ひとり異なっていて、乳腺の密度が高い人、密度が低く脂肪が多い人など、人それぞれです。乳腺の分布によって脇の方に痛みがある、全体に痛みがある、片方だけもしくは両方とも胸が痛いなど、症状の出る場所も変わります。
月経前はホルモン分泌の関係でむくみやすく、乳管に水がたまって「乳腺のう胞」ができることもあり、その場合は局所的な痛みが強くなります。閉経すると乳腺のう胞は消え、症状も治まります。乳腺のう胞の数や大きさもまちまちで、大きくなると触らなくてもチクチク痛み、しこりとして感じることもあります。また、別の症状として乳頭から分泌物が出る場合や、乳腺内で乳腺のう胞内のカルシウムの沈殿物が石灰化することもあります。

マンモグラフィに映った乳腺

超音波(エコー)検査に映った乳腺のう胞

画像提供:ピンクリボンブレストケアクリニック表参道

Chapter3

どんな人がなりやすいの?

女性ホルモンの刺激によるものなので、20歳前後から閉経までの女性なら、妊娠・出産経験に関係なく、誰でも乳腺症になる可能性があります。閉経前の10年間ほどは月経の周期が短くなっていくので、張りや痛みなどの症状の出る時期も多くなります。また、生理不順の人や、不規則な生活を送っている、ストレスを抱えている人は、女性ホルモンの分泌のバランスが崩れている場合が多く、乳腺の反応も強くなりやすいようです。