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女性が気をつけたい病気 女性に多い病気や症状について解説します

ヘバーデン結節 【監修:四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター 小野澤 久輔先生】

40代以上の女性には、手の指が腫れてきた、曲がってきたという症状がみられる病気がいくつかあります。そのうち、第一関節だけに腫れや痛みが出るのが、ヘバーデン結節です。近年になって、女性ホルモンの分泌量の減少が発症に関わっていることがわかってきました。腫れや痛みを放っておくと骨が変形し、元に戻らなくなるので、手の指に違和感が出た時点で、手外科か整形外科を受診しましょう。

Chapter1

ヘバーデン結節ってどんな病気?

手指の第一関節の一部が腫れたり、変形したりする病気で、水ぶくれができることもあります。症状が進行すると痛みが強くなり、指を曲げる動きが制限されて、ものをつかみにくくなります。女性だけでなく男性も発症しますが、男性は60歳以上の発症が多く、女性の方が痛みを強く感じる傾向があるようです。
初期症状には、起床時に手指の違和感やこわばりを感じるなどが挙げられます。日によって感じる指や程度が異なり、しばらくすると治まります。症状が出ては治まるという波が7〜10年ほど繰り返され、やがて関節や骨の変形に至ります。

手の指に痛みや変形の症状が出る病気はいくつかあり、少し前までは、指の使いすぎや加齢が原因の「変形性関節症」とひとくくりにされていました。近年、ヘバーデン結節の発症には、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量の減少が大きく関わっている可能性があることが判明しています。もともとエストロゲンには腱(けん)や、関節を包む滑膜(かつまく)の腫れを抑える作用があり、エストロゲンの分泌量が減少すると滑膜が腫れて、関節の動きがスムーズではなくなるのです。
また、同様の病気として、手指の第二関節が腫れて変形する「ブシャール結節」があり、ヘバーデン結節とブシャール結節の両方を発症する場合もあります。
これらは、似たような症状をみせる関節リウマチとは炎症を起こす仕組みが異なります。「最初に関節リウマチを疑って検査を受けたけれど、陰性だった」という人が、ヘバーデン結節だったということも多いようです。

Chapter2

どんな人がなりやすいの?

エストロゲンの分泌量が急激に減少する更年期以降の女性、つまり40〜60代の女性に多く見られます。なかでも、女性ホルモンに似た作用を持つ「エクオール」を体内で作れない人が発症しやすいといわれています。
病気の遺伝は基本的にありませんが、エクオールを体内で作れるかどうかは体質の遺伝があるとされ、母親の手指に変形がある女性のうちの約67%に手指の変形が生じるといわれています。祖母に変形があった場合も、隔世遺伝の可能があります。
また、エストロゲンが減少する妊娠中から出産後にかけて、一時的に手指の腫れやこわばりなどの症状が出る人もいます。この場合は、月経が再開すれば治まり、関節や骨の変形には至りません。

Chapter3

診断の流れ

診察は一般的な整形外科でも受けられますが、手外科の専門医がいる医療機関を受診するのがベストです。
診察ではまず、問診と視診、触診で、第一関節に盛り上がったデコボコとした腫れがあるかどうかを確認します。次にレントゲン検査で、骨と関節の状態を確認します。軟骨のすり減り状況を確認できる正面図に加えて、骨の一部がとげ状になった骨棘(こっきょく)の有無が確認できる側面図も撮影するのが望ましいです。レントゲン検査によって、問診、視診、触診ではわからない軽度の変化も確認できます。
関節リウマチが疑われる場合には、血液検査(結果は数日かかります)を行います。
診察、検査ののち、当日中に診断結果が出ます。

診療の流れ

1.問診、視診、触診 2.レントゲン検査 3.血液検査(必要な場合)

※手外科の専門医が検索できる日本手外科学会のホームページ
URL http://www.jssh.or.jp/

Chapter4

どんな治療方法があるの?

骨の変形がない、もしくは変形が軽度である場合は、重症化や、他の指に症状が出るのを予防するために、「エクオール製剤」を摂取します。効果が出るまでに1〜3か月ほどかかりますが、多くの場合、症状は緩和されます。エクオール製剤は、処方薬ではなくサプリメントなので、自費での購入となります。
痛みがあるときは、関節が必要以上に動かないように、テーピングで固定します。さらに痛みや腫れが強い場合には、ステロイド薬を第一関節内に注射します。また、冷えると痛みが出る場合は、血行をよくするビタミンなどを処方することもあります。

痛みが強くて、眠れない、ものをつかめない、仕事を続けられないなど、日常生活に支障がある場合には、手術をします。代表的なのは関節固定術で、チタン製のスクリューネジを指の側部または先端から挿入して、第一関節の前後の骨を固定します。手術時間は1本の指につき約30分(麻酔などを含む)で、通常は日帰り手術となります。
固定した関節は曲げられなくなるので、指によっては動作が若干制限されますが、痛みはなくなります。また、固定した2つの骨は次第につながるため、関節の腫れや骨棘も軽減します。

エストロゲンについて

エストロゲンは、エストロゲン受容体と結び付くことで、機能を発揮します。エストロゲン受容体には、乳腺や子宮内膜に多く存在するαと、骨や関節、滑膜に多く存在するβの2つがあり、エクオールはβと結び付きやすいことが分かっています。そのため、乳がんや子宮内膜症の人がエクオール製剤を摂取しても問題はないとされていますが、そのほかに治療中の病気がある場合は主治医に相談しましょう。

Chapter5

費用の目安

  • 初診:問診、触診、診察、レントゲン(正面図、側面図)……… 2,000円程度〜
  • 関節内注射(1か所) ………………………………………………… 800円程度〜
  • 日帰り手術(1か所) ………………………………………………… 約3万〜10万円(術式によって異なる)

※自己負担3割の場合

※治療費は、医療機関によって異なります

Chapter6

ドクターからのアドバイス

指にこわばりや違和感があっても、しばらくすると治まり、なかなか受診に至らないのが現状です。実際、受診された方からも「そういえば、小指は何年も前から痛かった」「痛みがなくなったので、治ったと思った」など、何年も前から違和感や痛みはあったという声をよく聞きます。
変形してしまった骨は二度と元には戻りません。手は、生活にはもちろん、コミュニケーションにおいても大切な存在です。将来、指の変形や強い痛みを防ぐためにも、違和感やこわばりがあったら、なるべく早めに受診してください。ヘバーデン結節は、原因、予防、治療法の情報が医療関係者にもまだ十分には浸透していないため、残念ながら「年のせい」「手の使いすぎ」などの誤った説明を受け、治療が遅れることもあるようです。気になることがあれば、手外科の専門医の受診をおすすめします。
最近は、30代でもエストロゲンの分泌量が減少し、更年期のような症状が出る女性が増えつつあります。エクオールを作り出せる体質かどうかは、市販の検査キットで簡単にチェックできるので、早めにチェックをしましょう。作り出せない体質と分かった場合は、予防も兼ねて40代からエクオール製剤の摂取を始めるとよいでしょう。

小野澤 久輔先生

福岡大学医学部医学科卒業後、市立御前崎総合病院形成外科科長などを経て、2018年より四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンターに勤務。手の外科、形成外科を専門とする。日本形成外科学会認定形成外科専門医。日本抗加齢医学会専門医。

URL http://www.mcube.jp/