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精巣がん 【監修:たかはし腎泌尿器クリニック大山駅前 髙橋悟先生】

精巣がんは、年間で10万人に1人というまれながんですが、20〜30代の若年男性に多く見られるという特徴があります。比較的進行が早い半面、早期に発見し適切な治療を行うことで治癒が期待できるがんです。精巣に痛みのないしこりができて発見されるケースが多く、入浴時などに精巣のしこりや腫れに気づくことがあります。精巣に少しでも異状を感じたら早めに泌尿器科を受診しましょう。

Chapter1

精巣がんはどんな病気?

精巣は陰嚢(いんのう)内部に左右一つずつ収まっている男性の生殖器で、精子をつくりだす役割を持っています。精巣内には精子のもととなる胚細胞がありますが、精巣がんの大半は、その胚細胞から発生する胚細胞腫瘍です。
精巣がんには大きく分けて、セミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマというタイプがあります。セミノーマは放射線療法や化学療法への感受性が高く、転移がある場合でも治癒が期待できます。非セミノーマの場合は、転移しやすかったり、進行が早かったりするケースが多くみられます。

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Chapter2

どんな人がなりやすい?

精巣がんは年間で10万人当たり1~2人程度が発症するまれながんです。若年から壮年の男性に多く、特に20~40代に発症のピークがある代表的な固形がん(血液腫瘍以外のがん)です。
進行が速い一方、適切な治療により高い確率で治癒が期待できるため、異状に気づいたら早めに受診することが重要です。
精巣がんの発生する明確な原因は明らかになっていませんが、停留精巣の人は精巣がんになりやすい傾向があります。停留精巣とは、出生時に精巣が陰嚢内に入っていない状態です。また、一度精巣がんになったことがある人や、家族に精巣がん患者がいる人もなりやすいといわれていますが、家族内発症には複数の遺伝的要因が関与すると考えられており、単一の遺伝子だけで発症が決まるわけではありません。

Chapter3

どんな症状が出る?

初期症状の一つは、精巣にできる無痛性のしこりです。片方の精巣が硬くなってきたり、触るとごつごつしたしこりが確認できたりします。痛みがないこともあり、しばらく放っておいて、しこりが大きくなってから受診する人も少なくありません。しこりは自分で触って確かめることができます。痛みがなくても、異状を感じたらすぐに泌尿器科を受診しましょう。
他に精巣に起きる主な病気としては、精巣捻転、精巣上体炎があります。いずれも痛みを伴うことが多い病気ですが、症状だけで区別することはできません。

精巣(睾丸)をチェックしましょう

  • 片方ずつ精巣をチェックします

  • 指の間でやさしく転がすように触ります

  • 精巣の裏側にある精索(せいさく)を触って確認します

  • 硬いしこりや滑らかな丸いふくらみがないか確認します

  • 大きさ、形、硬さの変化がないか確認します

  • または痛みのある部分がないか確認します

片方ずつ精巣をチェックします

指の間で優しく転がすように触ります

精巣の裏側にある精索(せいさく)を触って確認します

硬いしこりや、滑らかな丸いふくらみがないか確認します

大きさ、形、硬さの変化がないか確認します

または痛みのある部分がないか確認します

Chapter4

どんな検査をするの?

触診でしこりなどを確認し、超音波(エコー)検査で精巣内部のしこりや炎症などを調べます。触診と超音波検査によって精巣がんが疑われるかを評価し、摘除した組織の病理検査で確定診断します。あわせて血液検査(腫瘍マーカー)を行います。腫瘍マーカーの値は、組織型の推定や病気の広がり、治療効果の評価に用います。最終的な組織型は病理組織検査で判定します。
精巣がんは進行が早く、転移することもあるため、精巣がんが疑われる場合は、診断と初期治療を兼ねて、速やかに高位精巣摘除術を行うのが一般的です。

そのため、精巣がんと診断された場合、速やかに精巣の摘出手術(高位精巣摘除術)を行います。高位精巣摘除術では、鼠径部を切開し、精巣だけでなく、精巣につながる精索のできるだけ上の部位までまとめて摘出します。精索には精管、血管、リンパ管が含まれており、なるべく高い位置で切除することで、腫瘍の残るリスクを減らします。
摘除した精巣の組織は、病理組織検査を行い、その検査結果と、胸部・腹部・骨盤部の造影CTなどにより病期を判定します。造影CTが難しい場合にはMRIを検討します。

Chapter5

どんな治療方法があるの?

高位精巣摘除術で腫瘍を摘出した後の治療は、セミノーマか非セミノーマかによって異なります。
セミノーマで転移が見られない場合(ステージⅠ)、高位精巣摘除術後に追加治療を行わず、経過観察を選択することが一般的です。定期的に通院し、診察、画像検査、腫瘍マーカー検査などによる慎重な経過観察を行います。検査頻度は治療後の時期や病状により異なります。予防的治療として抗がん剤による化学療法を行う場合もありますが、ステージⅠセミノーマに対する術後補助放射線療法は、二次がんなどの晩期有害事象を考慮し、現在は選択されることが少なくなっています。
ステージII以上では、組織型、転移の範囲、腫瘍マーカーなどに応じて、化学療法、放射線療法、手術などを選択します。非セミノーマでも、ステージⅠでは経過観察などが選択される場合があります。

Chapter6

治療による影響は?

精巣がんは若年層に多く見られるため、子どもを持てるか心配する患者さんもいます。精巣がんは片方に発症するケースが多く、もう片方の精巣が正常に機能していれば、妊孕性(にんようせい、妊娠するために必要な力)が保たれることが多いものの、精巣がんの診断時点で精子をつくる機能が低下している患者さんもいます。また、精巣は精子をつくる以外に、男性ホルモンであるテストステロンをつくる役割を担っていますが、もう片方の精巣が正常に機能していれば、通常はテストステロンの分泌も保たれます。
化学療法を行う場合、シスプラチンという抗がん剤には妊孕性の低下という副作用が見られます。造精機能は治療後に回復することがありますが、回復までの期間や程度には個人差があり、回復しない場合もあります。現在もしくは将来子どもを持ちたいと考えている場合、特に全身化学療法を行う場合は、治療開始前に精子凍結保存などの妊孕性温存について説明を受け、希望があれば生殖医療の専門家に相談しましょう。

Chapter7

ドクターからのアドバイス

精巣がんは早期に発見し適切な治療を行えば、転移がある場合でも高い確率で治癒が期待できます。治癒を目指せる可能性が高いがんだからこそ、気になる症状を放置せず、早めに受診することが大切です。
初期には、精巣のしこりや痛みを伴わない腫れに自分で気づくことがあります。普段から入浴時などに定期的にチェックすることを心がけましょう。働き盛りといわれる年代に多いがんのため、ついつい受診を後回しにしたり、恥ずかしがって通院をためらってしまったりする患者さんも少なくありませんが、比較的進行も早いため、早期発見がその後の治療に大きく影響してきます。
ステージⅠセミノーマでは、高位精巣摘除術後に経過観察を選択できる患者さんが多くいます。非セミノーマでは再発リスクなどに応じて追加治療を検討します。少しでも異状を感じたらすぐに泌尿器科を受診してください。

たかはし腎泌尿器クリニック大山駅前
髙橋悟先生

1985年群馬大学医学部卒業後、米メイヨークリニック泌尿器科リサーチフェロー、東京大学医学部泌尿器科助教授、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授などを経て、2021年4月〜24年3月まで日本大学医学部附属板橋病院院長。定年退任を機に2026年10月、たかはし腎泌尿器クリニック大山駅前を開業予定。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本排尿機能学会前理事・前理事長、日本老年泌尿器科学会理事・前理事長

たかはし腎泌尿器クリニック大山駅前https://oyama-takahashi-urology-cl.com/

※掲載内容は、2026年8月時点の情報です。