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卵巣がん 【監修:成城松村クリニック院長 松村圭子先生】

子宮の両側にある卵巣には、女性ホルモンの分泌と排卵という働きがあります。卵巣にできる腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、卵巣腫瘍=卵巣がんとはかぎりません。卵巣がんは、初期にはほとんど自覚症状がなく、早期発見が難しい病気です。乳がんや子宮頸がんのような国の定める「がん検診」もないため、自ら定期的に婦人科を受診して、卵巣のチェックを受けることが大切です。

Chapter1

卵巣がんってどんな病気?

卵巣にできる腫瘍のうち約90%は良性、約10%が悪性といわれ、悪性の腫瘍を卵巣がんといいます。新たに卵巣がんと診断される人の数は40歳代から増加し、50歳代前半から60歳代前半にかけてピークを迎え、その後は次第に減少していきます。
卵巣がんは、腫瘍ができる部位によって、上皮(じょうひ)性腫瘍、胚(はい)細胞性腫瘍、性索(せいさく)間質性腫瘍の3種類に分類されます。

① 上皮性腫瘍

卵巣の表面を覆っている「上皮」にできる腫瘍。卵巣がんの約90%を占める。

② 胚細胞性腫瘍

卵子になる前の未成熟な「胚細胞(卵細胞)」にできる腫瘍。若年層にもみられる。

③ 性索間質性腫瘍

卵細胞の入った卵胞の周囲を取り囲む「性索間質」にできる腫瘍。

Chapter2

どんな症状が出るの?

卵巣がんはサイレントキラー(※)とも呼ばれ、初期は自覚症状がほとんどありません。卵巣の大きさは通常親指ほどですが、卵巣の腫瘍は直径20センチ以上になることもあります。服のウエストがきつくなるほど大きくなっても、太ったのかなと思い込むだけの人も多いようです。腫瘍がかなり大きくなると、おなかが張る、おなかが痛いといった症状が出てきます。また、腫瘍が膀胱(ぼうこう)を圧迫すると、トイレが近くなることがあります。

※サイレントキラー
自覚症状がないまま進行し、気づいたときには生命の危険に関わるような合併症を発症するおそれのある病気。卵巣がん以外に高血圧、脂質異常症などがあげられる。

Chapter3

どんな人がなりやすいの?

卵巣は排卵のたびに傷つき、修復されます。そのため、排卵回数が多いほど卵巣が酷使されているため、卵巣がんの発症リスクが高くなると考えられています。例えば、初潮が早くて閉経が遅い場合、妊娠や出産の経験がない場合は、発症リスクが高くなる可能性があります。
良性の卵巣腫瘍であるチョコレートのう腫は子宮内膜症によるものですが、その一部が長い期間を経て悪性化し、卵巣がんになることがわかっています。その割合は約1%という報告があります。
また、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子などの遺伝子に異常がある人は、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)といわれ、乳がんと卵巣がんを発症するリスクが高いこともわかっています。卵巣がんの約10%が遺伝性のものとみられています。

Chapter4

診断の流れ

おなかの張りや痛みなどを感じて婦人科を受診した場合、問診と内診に続き、経膣超音波(エコー)検査で腫瘍の有無を検査します。腫瘍がある場合はさらにその大きさ、性質や状態などを調べ、悪性の腫瘍が疑われる場合は、CT検査やMRI検査を行います。また、補足的に血液検査で腫瘍マーカーも調べます。

診療の流れ

1.問診 2.内診 3.経膣超音波検査 4.血液検査(腫瘍マーカー) 5.CT検査、MRI検査(必要な場合) 1.問診 2.内診 3.経膣超音波検査 4.血液検査(腫瘍マーカー) 5.CT検査、MRI検査(必要な場合)