聞かせて!あなたの体験談 闘病記や保険にまつわる話、健康や子育ての体験談を掲載しています。 聞かせて!あなたの体験談 闘病記や保険にまつわる話、健康や子育ての体験談を掲載しています。

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~がん患者として思うこと~

当たり前の話なのですが告知を受ける前からがんは既に身体にいるのですが、ドクターから「がんが見つかりましたよ」と言われる日までは自分自身もただの健常者として生活しています。しかし告知を受けたその時から線を引いたように「患者」という立場を持つことになります。言葉というものは不思議なものでこの告知がその時まであまり考えたことの無い「死」を意識させ、自分はがん患者なのだという自覚を持たせている気がします。

 

告知を受けるその瞬間で体調が一変するわけではないのですが、全くの別人にでもなった感じです。

 

私は告知を受けた日から今日まで自分ががん患者であることを忘れた日は一度もありません。それは手術でがんを切って、放射線やホルモン治療でがんを叩いても再発や転移を意識しない日がないということです。一見元気な姿でいても体調の微妙な変化も感じ取り(お陰で四季の移ろいに敏感になりました(笑))、頭痛がひどければ「もしかしたら脳に転移した?(乳がんは脳に転移しやすいのです)」と不安になり、血液検査の数値が多少でも悪ければ「もしかしたら再発した?」とすぐに疑ってしまいます。ほんの些細な違いに一喜一憂し、翻弄されて心身ともに疲れることが多くなります。

 

がんにはストレスが大敵と言われますが、そのプレッシャーをどうコントロールしていくかが今の自分の課題で、このがんに対する思いは恐らく生涯常にアタマの中にありそうです。

 

がんになったら「死」を意識しない人は殆どいないでしょう。もしかしたら直視することを恐れ、考えないようにする人もいるかもしれません。また、周囲の人たちもその人たちが健常者であればあるほど神経質なくらい「死」のイメージを遠のかせようとするかもしれません。私自身はこの身に起きてしまったことは仕方がないと思い、自分の死生観と向き合ういい時期なのかもと考えました。「私は今生きているんだなあ」などと意識しながら日常を過ごしている人は多くはないでしょうけれど、誰だっていつかは死ぬし、そのいつかまで活き活きとした生き方の段取りをどうつけるかが大切なのかなと思ったら少し気が楽になりました。

 

私は2014年2月現在も治療中ですががんが見つかったことをマイナスに捉えず、これからの時間は拾った命としてポジティブ思考でありたいと思います。

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~自分にとってのQOL(生活の質)とは~

最近は医療現場の中でQOL(生活の質)の維持を訴えることが多くなりました。

 

これは患者が自分らしく満足した生活をおくれるか、というものです。手術や治療が終わっても日常生活は続きます。単純に病巣を取り除けば終わり、ではありません。その為治療方法については主治医ととことん話す必要があります。治療が始まると後戻りすることは大変難しいので、主治医と治療について最初のインフォームドコンセント(医師からの説明と患者の同意)を受けた際に腑に落ちない点等があればセカンドオピニオン、サードオピニオンを活用します。これらの活用は他のドクターから意見を聞くことで、別の治療法を考えたり、最初に提案されている治療法を納得して受けることが出来ます。

 

私はがんが見つかって最初に考えたことは治療以前の日常生活を営むことが出来るか、でした。私も主治医と何度も話し、先ずは抗がん剤を使用せずに手術、放射線、ホルモン療法で治療していき、再発や転移があった時に抗がん剤も視野に入れることで治療方針を固めました。

 

実際の生活は治療の副作用や左腕に手術の後遺症がある為、様々な制限はありますが、健常者と同様普通に食事をとり、会社にも通っています。疲れが出ない程度で余暇を楽しんで潤いのある生活を営んでいます。ひとつだけ後から失敗した!と思ったのは手術前に温泉に行かなかった事でしょうか。人様に傷跡を晒すのにはやはり躊躇します。露天風呂付個室なんて高級な旅館に泊まるならともかく乳がん患者に温泉はかなり高いハードルなのですよ。ふ~。