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わたしの乳がん体験記 がん告知を受けてからの治療や
その時、感じたこと、調べたことなど

Nさん 40代女性
(営業職)

1

~2012/3 定期健康診断~

私は毎年3月に自宅近所の予防医学センターで人間ドックを行ない、40歳からは乳がん検査をオプションに入れていました。
乳がん検査にはマンモグラフィとエコーがあります。マンモグラフィは胸のレントゲンですが胸を板で押さえて撮るので人によっては少し痛い検査です。エコーは超音波検査なので特別に痛みは伴いません。どちらにしようかといつも迷うんですが、痛みも無く簡単という理由で直近2年はエコーを受けていました。

ちょうど一年前の3月に人間ドックを受診し、いつもどおりエコーと視触診検査を行い、視触診は「問題なし」と判断されたのですが、エコーで左胸に影が見つかりました。
神妙な顔つきのドクターから「乳がんの疑いがあるから早めに再検査を行なってください」と言われ、矢継ぎ早に「再検査は併設の病院で今日やりますか?後日別の病院でやりますか?」と聞かれ、その日は時間もあったので併設の病院でマンモグラフィも撮り、翌週にはドクターに診療を受けました。

2

~2012/3 病理検査~

マンモグラフィでみてもはっきり良性か悪性か分からなかったので、患部に直接太い針を刺し腫瘍の一部を取り出して詳細に検査するという組織診断を翌週にしました。この組織診断検査がかなり痛くて(もちろん部分麻酔はします)「自覚症状も無いのになんでこんなに痛い思いをしなきゃいけないの」と気が滅入ってしまいましたが、これで白黒はっきりできると思って乗り切りました。

3

~2012/4 告知を受けて~

そしてようやく2週間後にドクターから告知を受けたのですが、早期のせいかかなりあっさりとしたもので「やっぱりがんでしたねえ。」くらいなもんでした。もちろんその程度なので家族を呼んだりもしませんでした。がん患者を特別扱いしないというか、患者数が多いからなのでしょうか。その為「今日が告知日と受け取ってよろしいでしょうか?」と逆に質問したほどです。ドクター側のよくある一般的な病気感覚と患者側の特別な病気感覚の違いを感じました。余談ですが私は翌年(つまり今年です)に別のがん(食道がん)が見つかりましたが、その際の告知は電話という簡単なものでした。

今思えば、検査から告知までの時間が今日までのなかで一番悩み、不安に感じる時間でした。
その為か告知を受けた時はわだかまりが溶け「そうかそうか・・やっぱりそうか」と。
みなさんもよく耳にしていると思いますが、二人に一人はがんになる、という統計が「その話は本当だったんだなあ。自分もなるんだなあ」と妙に納得してしまいました。
ただ、いきなり「死」というものが身近に感じられ、これからどうやって生きていくか突然突きつけられた気がして、今まで身近にいるがん患者の友達に寄り添っていたつもりでしたが、いざ自分が当事者となると天と地ほど違うものだなと実感しました。
ここまではドクターの言われるがまま流れに乗って再検査や病理検査を予防医学センター併設の病院で行いました。人間ドックから約1ヶ月経過していますがこの頃から色々な問題と直面していきます。
と同時にがん患者としての自覚が芽生えてきました。

4

~2012/4 心配事① 病院選び~

最初の問題は病院選びです。
告知を受けたその日にドクターから「紹介状を書きますから治療したい病院を言ってください」といわれ、どこの病院がいいのかさっぱり分からなくてそれには困りました。
みなさんは乳がんは何科で治療するかご存知でしょうか?
乳がんは「乳腺外科」というところで診察や治療を行うんです。まず、「乳腺外科」がある病院を探さなければいけないんですね。私はその日までそのこともよくわかっておらず、告知いただいたドクターがたまたま普段は国立大学病院に勤務されている乳腺外科の専門医で、何かに導かれている気がして「これはこのまま流れに乗ったほうがいいんじゃないか?!」とポジティブに捉え、そのまま主治医になっていただきました。

5

~2012/4 心配事② 治療方法~

次の問題として乳房を全摘出するか温存するかなんですが、私の場合腫瘍の大きさが16ミリだったので、どちらでも対処できる大きさでした。
因みに乳がんは20ミリ以下が早期と言われ、この大きさに成長するまで約10年かかるそうです。
全摘出の場合、文字通り乳房全て取り除くので再建術もしやすく、同じ胸に再発する危険はありません。ただ、自分の胸をえぐり取るというショックはかなり大きいものです。
温存の場合は見た目はあまり変わらないメリットがありますが、再発の危険性があり、温存後の再建術は技術的に困難です。いちばんの悩みはがんを切り取ることで胸のカタチがどのように変わるのか想像がつかないことでした。さすがにこれはどの書物を読んでもネットをみてもどこにも載っていませんでした。
私自身は腫瘍の大きさと出来た場所、胸の大きさなどから温存術をしても今まで通りの見た目と大して変わらないだろうと自分で判断し、温存にしました。

6

~2012/4 手術の日にちが決まって~

手術は告知を受けてから1ヵ月半後の5月末に決まりました。最初に人間ドックを受けてから2ヶ月以上も経っていて、このあいだにがんは進行しないのかと不安に思いましたが、乳がんの場合進行速度が遅いことが比較的多く、また重篤な患者を先行して手術を行うので比較的進行していない患者の場合後回しになるのが一般的なようです。ドクターにとっては大量にいるがん患者の一人なのでしょうが私にとっては初めてのがん体験なのでその待ち期間がとっても憂鬱でした。
ただ、この待ち期間のあいだにがんについて色々と勉強ができたので少なからず知識を得て治療に望むことができました。また、当分大好きな旅行も行けないな、と思いGWには念願のバルト三国に行き、しばしリフレッシュしてきました。

7

~2012/5 手術の日~

手術は入院翌日に行い手術時間は3時間半くらい。朝8時に手術室まで自分で歩いていき、手術台(思ったより高い位置)にも自分でよっこいしょとのぼり「テレビドラマとぜんぜん違う!もっと丁寧に扱われるんじゃないの?!」と思いながらも文字通りまな板の鯉の状態です。手術台は暖かく寝心地?はいいものの幅がとても狭いので落ちるかと思いました。両サイドから外科医がオペをするので狭いんでしょうかね。医療チームの方々から暖かくも力強いご挨拶があり、不安を取り除こうとしてくださっているのがよく分かったので、全面的にお任せしました。
麻酔を吸ってものの数秒で意識を失い、私の知らない間に手術は終わり、そしてよっぽどぐっすりと寝ていたのか平手打ちで起こされました。

手術台の上で最初にドクターから話しかけられた言葉が「リンパ節に転移していたからそっちも取りましたよ」でした。意識が朦朧としている中で聞いたので最初はぼうっとしていて受け止めきれていなかったのですが、しばらくして覚醒してくると沸々と実感が沸き「転移って・・・。術前の説明ではリンパ節に転移していないって言っていたのに・・・。もう完治は無理ということですか?」とドクターについ詰め寄ってしまいました。それまで自分の感情を吐露することは殆どありませんでしたが、この時はがんの告知を受けた時より精神的にダメージを受けすぐに現実を受け止められなかったんですね。
入院は8日間におよびましたが、水曜日に退院して翌週の月曜から出社しましたので一般的な病気より早いかもしれません。リンパに転移していない温存術だけの場合は手術は2時間半くらい、入院も4~5日程度で済み会社も1週間程度休めばいいので家を預かる専業主婦はもちろん仕事への心配もそれほどしなくていいので最近の医学の進歩に驚くばかりです。