Chapter3

乳がんだと分かったときの気持ち
―検査後に告知されるまでは誰でも不安―

司会

「がん」という言葉のイメージが強く、とても驚かれたのではないでしょうか。

Aさん

検査が進んでいくにつれ、「本当にがんなのか」「がんだとしたらどうしたらいいのか」と、不安が爆発しそうでした。家族に伝えるかどうか、というところも不安でしたね。気持ちが揺れていた分、いざ告知を受けたときにはむしろ腑に落ちたというか少し安心したような感じでした。病名がはっきりしたので、あとはこれからどう向き合っていくか、気持ちも切り替えたからだと思います。

Cさん

私は検査が進んでいくときにも不安でしたし、実際に分かったときにはさらに落ち込みました。「転移しているのでは?」「とても悪いのでは?」と気になりだすと、体のあちこちが痛いような、ふだんは気にならないちょっとしたことでも気になったりして。抗がん剤治療に抵抗があったことも大きいです。気持ちの浮き沈みはかなりありました。ただ、手術については悪いところを取り除けばいいわけですし、抗がん剤についてもしっかり調べることで、時間の経過とともに受け入れられるようになりました。

Bさん

私の場合は、良性だと思っていたものが悪性だったと突然判明したので、「乳がんかもしれない」という心の準備もありませんでした。病気についての知識もなく、保険に入っておらずお金の心配もありましたし、仕事はどうなるのか、運動や旅行などの趣味が一切できなくなるのか、大好きなお酒も飲めなくなるのか、など、さまざまな不安が一気に押し寄せてきました。告知されてから放射線治療が始まるまでの1ヵ月間が特に不安で、誰にも相談できず1人で悶々としているときに、Aさんにお会いしたんです。

Aさん

当時を思い出しますね。

Bさん

不安な思いを打ち明けることができて救われました。仕事のことだけでなく、食べ物や運動はどうしているか、温泉に行けるか、飛行機に乗っていいのか……など、日々の生活に直結した話を聞けたのもよかったです。

Dさん

私は、「まさか私が」と思いました。ただ、先生が「治るから」と言ってくださったので、素直に「とにかくすぐに治さなきゃ」と。子どもたちがまだ小学生だったことや、仕事で迷惑をかけたくないという思いも強くて、不安なんて見せられない、という感じだったかもしれません。

司会

不安はあまり感じなかったのでしょうか?

Dさん

がんと分かってから3、4ヵ月くらいは周りの声が聞こえていなかったように思います。主治医の話も、会社の人の話も、家族の話も一枚のベールの向こうで声がしているような感覚でした。抗がん剤治療を始めて、髪の毛が抜け始めた頃にようやく現実が見えてきたというか、「あ、私、動揺していたんだ」と気付きました。不安はないと自分に言い聞かせ、とにかく強くあろうとしていたんだと思います。