Chapter4

家族にどう伝えたか
―誰にどう伝えるかに正解はない―

司会

皆さんご家族にはどのようなタイミングで伝えられたのでしょうか。

Dさん

夫にはすぐに伝えたのですが、「ステージ1なら治るよね」「手術の日、会議があるから会社に行ってもいいかな」とすごく軽かったことを覚えています。夫としては、「普通に接するのがいい」と思っていたようです。双子の息子と娘は当時小学6年生だったので伝えることを迷いましたが、彼らの性格上、話した方がよいと判断しました。「お母さんは乳がんです。手術と治療をすれば、時間がかかるけど元気になります」と伝えたら素直に受け取ってくれました。最近、当時のことを聞いたら、娘は「自分が落ち込むのは違うと思ったから、いつものとおり明るくしていた」と、息子は「ママは絶対元気になる、と自信があったから気にもしていなかった」と言っていました。

Cさん

夫にはすぐに話をしました。その後、実家で母と暮らす妹にも伝えました。ただ、病気を患っていて日常生活へのサポートが必要な状況だった母には言えずにいました。でも、抗がん剤治療や2回目の手術が必要だと分かったときに、妹から「いい加減、もう母にも伝えるべき。娘のことを心配するのは当たり前。」と言われてちゃんと説明しました。私よりも大変な病気と闘っているのに、心配させるかな、という不安の中ですごく気を遣いましたね。

Bさん

私も心の支えでもあった夫と妹にはすぐに伝えました。しかし、実家の父が重い病気の治療中で、きょうだい(姉、弟、妹)が交代で世話をしていたこともあり、家族が精神的にも弱っているときでしたので、両親や姉、弟には知らせずにいようと思っていました。治療が落ち着いたタイミングで姉と弟には伝えましたが、現時点で両親には話していないという状況です。

Aさん

皆さん状況が似ていますね。うちも母の調子が悪く大変な時期だったので、まず伝えるかどうか悩み、しばらくは伏せていました。最終的には伝えましたが、とてもショックを受けてしまい、私自身が自分のことで精いっぱいなのに母のケアもしないといけなくなり……。実は乳がんが発覚した翌年に、食道がんにも罹患していることが分かったのですが、それについてはいまだに何も話していません。

Bさん

私も自分のことで精いっぱいで、親のことまで心配したら自分がパンクしてしまいそうだったというのもあります。自分以上に家族が心配してしまうこともありますよね。うちの場合は、夫が思っていた以上に動揺してしまって。それを見て私も動揺するという……。でも、基本的に自分のことは自分で考えて決めていきたいと思っていました。

Cさん

私も、「自分で情報を探して考え、そのうえで判断したい」というタイプなので、とくに治療方法について相談しませんでした。夫は静かに横で見守ってくれていたり、頼みはしませんでしたが病院についてきてくれたり、心配しながらも寄り添ってくれたと思います。

Aさん

がんだけでなく、病気に関しては、人に伝えるかどうか本当に個人差があるものだと思います。受け取る人の反応もさまざまですし、何が正解というのもありませんよね。